転職しやすい理由は?
都会の看護師が離職しやすい原因の一つに「転職のしやすさ」が考えられます。都会の場合、街中には多くの病院や医院が並び、一つの病院を辞めてもすぐに他の職場を探すことができます。よくある例が夜勤のある病棟勤務から日勤だけで済む個人の医院への転職です。夜勤では夜勤手当てがつきますがそれ以上に身体への負担も大きく、家族との生活時間がずれてしまうといった問題があります。また、子供を育てながら看護師として働く場合にも子供を預ける都合などから日勤のみを希望する看護師は少なくありません。
さて、ここで全国の都道府県別の病院数を見てみましょう。
【平成22年度 都道府県別病院数(抜粋)】
<上位7都府県>
東京都 647
大阪府 540
福岡県 466
神奈川県 343
愛知県 329
千葉県 283
京都府 175
<下位7県>
島根県 54
福井県 75
和歌山県 92
岩手県 95
石川県 101
富山県 110
徳島県 117
(出典:平成22年医療施設調査 政府統計による)
前のページの都道府県別離職率表と比べると、看護師の離職率が高かった都府県は全国でも病院数が多く、逆に離職率の低かった地域では病院数も少ないことが分かります。 次は、看護師専門の求人サイトでの各都府県の求人件数を見てみます。これは地域の選択を都府県だけにした上で検索した結果です。
【各都府県別の求人件数】
<上位7都府県>
東京都 1921件
神奈川県 869件
愛知県 824件
千葉県 526件
大阪府 446件
福岡県 255件
京都府 223件
<下位7県>
島根県 9件
岩手県 16件
和歌山県 16件
徳島県 21件
福井県 27件
富山県 33件
石川県 41件
(出典:マイナビ看護師 2013年10月の情報)
このように、離職率の高い都府県は求人数も桁違いであることがはっきりしています。また別の求人サイトでは離職率の低い県の求人情報が一件も出てこないこともありました。
看護師として病院や医療施設で勤務する以外にも、都会には福祉系の職場や一般企業のアドバイザーなど看護師の資格を活かせる仕事が多くあり、キャリアアップを目指す看護師にとっては大変魅力的な環境です。ホテル業界などの接客業でも看護師としての経験を高く評価する傾向があり看護師からの転職先は引く手あまたとも言えます。
それ以外にも、都会では看護師の夫も不定休のサービス業やフリーランスなど妻と時間を合わせやすい職業を持てるという利点もあります。夫が平日の昼間に勤務して土日休みというパターンの場合、妻が夜勤をしているとお互いに完全に逆の生活になってしまうこともありがちな話です。
このように、無理をしなくても自分の都合に合わせて看護師として働ける職場が他に多くあることも看護師の離職率を高め、看護師不足を引き起こす一つの要因となり得るのです。